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非正規でも自身の「見えにくい貢献」を特定し、内なる自信を強化する方法

Tags: 非正規雇用, 自己肯定感, 貢献, キャリア, 自信

非正規雇用という働き方は、柔軟性や多様な経験を得られる一方で、自身の貢献が必ずしも正当に評価されていると感じにくかったり、契約上の役割を超えた努力が見過ごされがちであったりすることから、自己肯定感が揺らぎやすい側面があるかもしれません。特にIT分野のようにプロジェクトやタスクが細分化され、成果が数値化されにくい場面では、この感覚が強まることもあります。

自身の価値が外部からの評価や役職に左右されるのではなく、内側から湧き上がる揺るぎない自信に基づくものであるためには、自分が組織やチームにどのような影響を与え、どのように貢献しているのかを、自分自身が正しく認識することが非常に重要になります。しかし、特に非正規の場合、その貢献が「見えにくい」ものであることが多いのです。

本記事では、非正規雇用で働く中で自身の「見えにくい貢献」をどのように特定し、それを言語化することで、自己肯定感をどのように強化していくかについて、実践的なアプローチを解説します。

なぜ非正規雇用では貢献が見えにくくなるのか

非正規という雇用形態は、契約内容や期間が明確に定められていることが多く、担当する業務範囲が限定的である場合があります。また、チームや組織によっては、正社員と非正規社員の間で評価制度や情報共有の仕組みが異なったり、キャリアパスが見えにくかったりすることもあります。

このような構造的な要因が、自身の業務範囲外での貢献や、数値化しにくいプラスの影響、あるいはチーム内の非公式なサポートなどが、「公式な成果」として認識されにくくなる一因となります。結果として、日々努力し、確かに貢献しているにも関わらず、「自分は何をしているのだろう」「本当に役に立っているのだろうか」といった不安や疑問が生じ、自己肯定感が揺らいでしまうことがあります。

「見えにくい貢献」とは何か

「見えにくい貢献」とは、一般的に成果報告書に記載されたり、公式な評価の対象になったりしにくい、しかし組織やチーム、あるいは関わる人々に確実にプラスの影響を与えている自身の行動や働きかけを指します。

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

これらは必ずしも目に見える大きな成果に直結しないかもしれませんが、組織やチームの円滑な運営、生産性の維持・向上、あるいは良好な人間関係の構築において、不可欠な役割を果たしています。

見えにくい貢献を特定し、言語化する実践ステップ

自身の見えにくい貢献を認識し、自己肯定感に繋げるためには、意識的にそれらを特定し、言語化する訓練が必要です。以下に具体的なステップを提示します。

ステップ1:日々の業務を詳細に記録する習慣をつける

単なるタスクリストの消化だけでなく、日々行った業務について、以下の点を意識して記録する習慣をつけましょう。

ステップ2:貢献を多角的に定義する視点を持つ

記録した内容を振り返る際に、「これは誰にとって、どのようなプラスになっただろうか?」という視点で考えます。

単に「タスクAを完了した」だけでなく、「タスクAを迅速に完了したことで、後続のタスクBを担当する〇〇さんの作業が予定通りに進んだ」というように、自分の行動が周囲に与えた影響を具体的に掘り下げます。

ステップ3:「影の仕事」に光を当てる

特に非正規の場合、契約内容に直接書かれていない「影の仕事」が多く存在します。これは、誰かがやらないといけないが担当が不明確だったり、他の人が気づかない細かい配慮であったりします。例えば、共有フォルダの整理、会議室の予約、備品の補充、他の人がうっかりミスした箇所の修正協力などです。これらは小さく見えても、組織全体の円滑な運営には不可欠な貢献です。これらの「影の仕事」も意識的に記録し、自分が行ったことを認めましょう。

ステップ4:言語化のフレームワークを使う

記録した内容を、より明確な「貢献エピソード」として言語化するために、STARメソッドのようなフレームワークを応用します。

例えば、「共有サーバーの容量が逼迫している状況で(Situation)、皆が気づいていなかったディスク使用量の増加という課題(Task)に対し、私は週末に自主的にログファイルの整理と古いバックアップデータの削除を行いました(Action)。その結果、サーバーの安定稼働を維持でき、チーム全体の業務が滞りなく行われました(Result)。」のように記述します。このような具体的なエピソードとして言語化することで、自身の貢献がより明確になり、内面化しやすくなります。

言語化した貢献を自己肯定感に繋げる方法

特定し、言語化した自身の見えにくい貢献は、自己肯定感を強化するための強力な材料となります。

まとめ

非正規雇用で働く中で、自身の貢献が見えにくく、自己肯定感が揺らぎやすいと感じることは、決してあなただけが抱える課題ではありません。しかし、自身の「見えにくい貢献」を意識的に特定し、言語化し、それを自分自身が認識し承認するというプロセスは、外部評価に依存しない、内側から湧き上がる揺るぎない自信を築くための強力な一歩となります。

日々の業務における小さな行動や働きかけにも光を当て、それが周囲にどのような良い影響を与えているのかを多角的に捉え、言語化する習慣をつけましょう。そして、言語化した貢献を定期的に振り返り、自分自身でそれを認め、小さな成功体験として積み重ねてください。自身の価値は、役職や雇用形態、あるいは他者からの評価によって決定されるものではありません。あなたの真の価値は、日々の努力と、組織やチーム、関わる人々に与えているプラスの影響の中にこそ存在します。その「見えにくい貢献」に光を当て、内なる自信を強化していくことで、非正規という働き方の中でも揺るがない自己肯定感を築き上げることができるでしょう。