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非正規でも揺るがない自信へ:仕事における主体性とコントロール感の高め方

Tags: 自己肯定感, 非正規雇用, キャリア, 主体性, コントロール感, 働き方

非正規雇用という働き方には、契約更新の度に生じる不安定さや、自身のキャリアパスに対する不透明感といった課題が伴うことがあります。これらの要素は、時に自己肯定感に影響を及ぼし、「自分の働き方はこのままで良いのだろうか」「本当に成長できているのだろうか」といった不安につながることがあります。しかし、働く立場や雇用形態に関わらず、仕事における「主体性」と「コントロール感」を高めることは可能です。そして、これらを意識的に育むことが、揺るがない自己肯定感を築く上で非常に有効なアプローチとなり得ます。

なぜ主体性とコントロール感が自己肯定感に繋がるのか

主体性とは、自らの意思に基づいて行動する姿勢を指します。コントロール感とは、自分の行動や環境にある程度の影響力を持っている、あるいは状況を管理できているという感覚です。非正規雇用の場合、外部要因(契約内容、会社の状況など)に左右される部分が多いと感じやすいかもしれませんが、その中でも「自分で選び、自分で動かせる領域」は必ず存在します。

主体的に仕事に取り組み、自身でコントロールできる領域を広げることで、受動的な立場から能動的な立場へと意識が変化します。これにより、「自分は状況に流されるだけでなく、働き方を主体的に形成できる存在だ」という感覚が生まれます。この感覚は、自己効力感を高め、結果として自己肯定感の向上に深く結びつきます。

不安定な要素が多い状況下だからこそ、主体性とコントロール感を持つことが、心の安定を保ち、自信を持って仕事に取り組むための鍵となるのです。

仕事における主体性を高める実践的なステップ

では、具体的にどのように主体性を高めていけば良いのでしょうか。いくつかのステップをご紹介します。

1. 現状における「コントロールできること」と「できないこと」を明確にする

まず、自身の置かれている状況を客観的に分析します。担当している業務の中で、自分で進め方や手法を決定できる部分はどこか。逆に、契約や会社の規定で変更が難しい部分はどこか。これらをリストアップしてみてください。

このステップの目的は、コントロールできないことに焦点を当てて落胆することではなく、コントロールできる「余地」を明確にすることです。その余地を見つけることで、次に取るべき具体的な行動が見えてきます。

2. 担当業務における裁量範囲を見極め、積極的に提案する

あなたの現在の業務範囲内で、どのように進めるかをある程度任されている部分はありますか。もしあれば、その裁量範囲を最大限に活用してください。例えば、タスクの優先順位付け、使用するツールの選定、報告の方法などを工夫することができます。

さらに、現在の業務プロセスにおいて、効率化や改善が見込める点があれば、積極的に上司や関係者に提案してみましょう。提案が受け入れられるか否かに関わらず、「より良くしよう」という主体的な姿勢そのものが、自身の仕事に対するオーナーシップを高めます。提案が実現すれば、それは成功体験となり、大きな自信につながります。

3. 自律的な目標設定と進捗管理を行う

会社から与えられる目標だけでなく、自分自身の成長やスキルアップに向けた目標を個人的に設定してみてください。例えば、「〇〇の技術を習得するために、毎日30分学習時間を確保する」「担当プロジェクトで、〇〇の成果を出すために、この1週間で△△を完了させる」などです。

これらの目標に対する進捗を自身で管理し、達成に向けて計画的に行動すること。これは、外部からの指示ではなく、自分自身で決めたことに取り組み、成し遂げるプロセスです。この自律的な活動は、自身の能力に対する信頼感を育み、コントロール感をもたらします。

コントロール感を得るための思考法

主体的な行動と並行して、内面的なアプローチも重要です。

1. 外部要因に左右されすぎない心の持ち方

非正規雇用では、契約の継続や条件変更など、自分だけではコントロールできない外部要因が存在します。これらの不確実な要素に過度に心を乱されないためには、「コントロールできないこと」については、必要以上に深く悩むのではなく、「起こりうる可能性の一つ」として受け止め、「コントロールできること」(例:自分のスキル向上、市場価値を高める努力、他の選択肢を探る準備)に意識を集中することが有効です。

2. 「選択している」という意識を持つ

非正規という働き方を選んだのは、自分自身の意思決定の結果であると捉え直してみましょう。それは、特定の企業文化に縛られずに働きたい、複数のプロジェクトに関わりたい、特定のスキルを磨きたい、ワークライフバランスを重視したいなど、何らかの理由があったはずです。

「〇〇だから仕方なく」ではなく、「〇〇というメリットがあるからこの働き方を選択している」という意識を持つことで、受動的な被害者意識から脱却し、能動的な選択者としての自己認識が生まれます。この意識の転換は、自身のキャリアに対するコントロール感を高めます。

非正規ならではの視点を活かす

非正規という働き方の特性を理解し、それを自己肯定感の糧とすることも可能です。

1. 契約更新という機会を成長の節目と捉える

契約更新は、評価の機会であると同時に、自身の働き方や条件について建設的に話し合う機会でもあります。これまでの貢献をどのように伝え、今後の役割についてどのような希望があるかを整理し、主体的に交渉に臨む準備をすることは、自身の価値を認識し、それを言語化するプロセスです。この経験自体が、自己肯定感を高める一歩となります。

2. 複数の仕事やプロジェクトに関わる可能性を活かす

非正規の場合、複数の組織やプロジェクトに関わる機会があるかもしれません。これは、多様な経験を積み、自身のスキルセットを広げる絶好の機会です。一つの場所に依存しない働き方は、リスク分散になるだけでなく、「自分は複数の場所で必要とされる能力を持っている」という自信につながります。それぞれの場所で主体的に役割を見つけ、貢献することで、コントロール感を高めることができます。

主体的な行動が自己肯定感を高める好循環を生む

仕事における主体性とコントロール感を高めるためのこれらの取り組みは、単なるスキルの向上やキャリアアップに留まらず、自身の内面に確かな変化をもたらします。

主体的に考え、行動し、小さな成功や改善を積み重ねることで、「自分にはできる」「状況を良い方向に変えられる」という自己効力感が高まります。この感覚は、非正規という雇用形態からくる不確実性への不安を軽減し、「自分は自分のキャリアを主体的に築いている」という確信へと繋がります。

このプロセスは、自己肯定感を高め、さらに積極的に仕事に取り組む意欲を生み出すという好循環を生み出します。非正規という立場で揺るがない自信を築くためには、外部の評価や状況に一喜一憂するのではなく、自分自身の内発的な動機に基づき、仕事における主体性とコントロール感を意識的に育んでいくことが重要なのです。